ドライブ技術(前進回転。競技卓球へのファーストステップ)

ここではドライブに関する技術について解説します。

ドライブは攻撃選手であれば老若男女関わらず使う技術です。

ボールに前進回転(テーブルを挟んだ相手のほうへ回転が進む回転)をかけて、攻撃力と安定性を持たせた打球技術になります。

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・技術名や名前の由来

ドライブ打法のドライブは一体どういう意味で、なぜドライブと呼ばれているのか、実はこれをはっきりとさせることは難しいのです。というのも、具体的に前進回転のボールのことをドライブと呼ぶこととする、という明確な文面や証拠がなく、「ただそう呼ばれているから」といった状況なのが現実です。

海外に目をやると、ドライブ打法のことを”top spined drive”と表現しており、これを踏襲すると”Drive”には「打つこと」といった意味までしかなく、前進回転という条件を追加したのは実は日本人なのでは、と考えることもできます。

・技術の興り、元祖

ドライブ打法の元祖・・・と言われるととても難しいのですが、そもそも「ボールに回転をかける」という技術自体が、ラケットにラバー(と呼ばれるもの)を貼り付けて打球することで初めて実現されるため、狭義のドライブという点で言えば、1950年代に”裏ソフトラバー”が誕生することで、ドライブ打法が一般化したと言えるのではないでしょうか。

1982年のヨーロッパ全盛期ではすでにドライブ型が世界標準になっていました。

ちなみにある一説では「イングランドの卓球愛好家ウッドさん」が、風邪をひいて薬局に薬を買いに行った際、おつり受けに貼ってあるイボイボを見て「これ卓球のラケット(当時は木べらでした)に貼ったら回転とかけられちゃったりするんじゃね・・・?」と思い、貼り付けたのが起源されるとの情報もありました。信じるか信じないかは、あなた次第ですが・・・

・技術の最新状況

ドライブ打法は卓球史上おそらくもっとも打たれた数の多い技術ではないでしょうか。

攻撃型はもちろん、守備型の選手が攻撃を仕掛ける時にも使われます。卓球を新しく始めた初心者の方々も、基礎的なラリー技術を体得したのち、最初に覚える技術がこのドライブです。

ボールに強い前進回転を与えて相手への到達スピードを短くして時間を奪い、回転による軌道の安定化をし、また回転量で相手の返球をオーバーさせるといった目的があります。

トップの攻撃型の選手が対戦すると、このドライブの激しい応酬をみることができます。

以下の試合は日本の水谷隼選手と、ポルトガルのティアゴ=アポローニア選手の対戦です。

両者は比較的台から距離をとって大きなスイングで強いボールを打ち込むタイプのラリーを得意としています。これらのタイプはヨーロッパ型と呼ばれることがあります。

台から距離を取るために、強いボールが打てる反面、コースによってはガラ空きにもなってしまい、フィジカルのパワーだけでなくコントロール性や戦略的な思考も求められる戦い方です。リーチの長い、欧米型の選手に適しています。

また、台の近くで小さく鋭いドライブを叩き込むタイプの戦い方もあります。

これらはヨーロッパ型とは逆に、小回りの利くタイプに適しており、アジア型とすることができます。

女子選手は特にこの傾向が強く、より台に近づいてピッチの早いラリー展開を中心に試合を組み立てます。攻撃型同士の試合では、このピッチの早さが勝敗を分けることも多く、上記の試合では石川選手が平野選手のスピードとボールの回転力に押されていく試合展開をみることができます。

・技術のやり方、解説

ドライブ打法のやり方についてですが、基本的に「ボールを下から上に擦り上げる」という動作で構成されています。効率的にボールに回転やエネルギーを伝えるために体重移動やフリーハンドの使い方、腰の使い方、バックハンドの取り方などが加わってきます。

また、ドライブには「対下回転ドライブ」と「対上回転ドライブ」があります。これらの違いは相手の打球の回転が、下回転なのか、それ以外か、となります。

対下回転だった場合、自分の与えるドライブ回転が下回転に負けているとネットミスをしてしまうので、しっかりとバックスイングを下に落とし、ひざもつかって上に擦り上げていくことが大事です。

相手のツッツキに対する3球目攻撃やカットマンや異質タイプの対策として必須技術になります。

この動画では、横山選手がカットマンの阿部選手の下回転をしっかりと見極め、複数のドライブ打法(対下回転、対上回転)を使い分けて相手を崩しています。

またこちらは岸川選手と松平健太選手の試合前の練習動画ですが、ここではお互いがボールにドライブ回転をかけて、感触を確認しているシーンが見られます。

どちらもボールを叩くのではなく、擦ることで安定したドライブ回転を生み出しています。

・その技術と他の技術との連携や練習方法

ドライブ技術はそれ単体でも攻撃技術として活用できますが、同じく攻撃技術のスマッシュと組み合わせることでより得点が楽になります。強い回転で相手のブロックや態勢を崩し、浮いたところを叩く、というわかりやすいパターンです。

自分が下回転のサービスを出し、練習相手にツッツキしてもらい、それをバックスイングをしっかりとったドライブで返球することで練習します。3球目に打ったドライブは相手にブロックしてもらい、そのままドライブ連打、あるいはスマッシュ強打の練習に分岐させることで効率的に攻撃の練習ができます。

また、カーブドライブやシュートドライブといった横回転を織りまぜることで軌道を曲げ、より取りにくいドライブを打つ技術もあります。ワルドナー選手はこのカーブドライブの名手と言われ、いまでも天才と名高い選手です。

・やりやすい用具

ドライブがやりやすい用具についてはおおよその表ソフトや裏ソフトで対応が可能です。

やりやすい、やりにくいについては使用するラケットや個人のフィーリングに依存するところが強いです。

また、打ち方についても擦って打つか、食い込ませて打つかに分かれます。

擦って打つなら硬めで引っかかりの強いラバーが適しています。中国製のラバーやテナジー25、ラザントパワーグリップなどのラバーが該当します。これらのラバーは回転量はかなり豊富なのですが、一球一球をしっかり擦り切って打たないと、思わぬミスや棒球が出てしまい、安定性を出すことが難しいとされています。

一方で、食い込ませて打つラバーについては柔らかめである程度飛距離の出るラバーが適しています。テナジー64やFX系テナジー、VictasのLimber系ラバー、など多くのラバーがこちらに該当します。これらのラバーは威力は出にくいものの、とにかく当てれば入るという安定感が売りのものが多いです。打球感も爽快でわかりやすく、コントロール性に優れている傾向があります。

さらに、食い込ませ打ちと擦り打ちの両方に適度に対応できるラバーも増えてきています。テナジー05やオメガ系(プロ)、ニッタクのファスタークG1、YASAKAのラクザ系の硬めで引っかかりの強いスピン系テンションラバーはここに分類できます。これらのラバーは攻守に安定的に性能を発揮しますが、使う選手の技術により出せるボールの質やバリエーションが左右されやすく、高性能なのに無個性という器用貧乏に陥りがちな側面もあります。

ドライブ技術は試合を構成し、優位に進めていくなかでは最も重要な打法であると言って過言ではありません。

自分にあった打ち方や用具を見つけて、まずは安定的に攻撃できる選手にステップアップしていきましょう。

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